資産形成のこと、公開します

2003年の酒の販売の原則自由化を控え、酒の販売数量が増大するのは明らかだった。 この要望は新宿区内の事情ではなく、全国的に起こりうる問題だとS本部は認識した。
メーカーやその系列、商品群などの枠を超えて共同配送に取り組み物流の合理化・効率化を実現していたSだったが、それでも食品と非食品は別々に配送していた。 そこで検討されたのは常温で運べる加工食品、酒類、日用雑貨、菓子の常温商品4分野を一括して配送することだった。

酒類だけの配送体制の変更では、効率性を改善することは難しかったからだ。 常温で運べる食品、加工食品、酒類、ソフトドリンクを一つのトラックに混載する。
重くて小さいドリンクなどの飲料と、軽くて大きい菓子類や日用雑貨を一緒に運ぶのである。 従来、菓子の共同配送トラックの場合、重量は34%と軽かったが、かさばるために容積は83%と高い。
一方、日用雑貨は重量の積載率が40%、容積の積載率は60%、加工食品は重量が90%で容積が46%だった。 この重量と容積のバランスが共に100%に近くなれば、積載効率は飛躍的に高まることになる。
配送トラックの一番下の床の部分に酒類とソフトドリンクを置き、曜日ごとに菓子や雑貨、加工食品などを混載する。 この一括配送によってトラックの重量は90%、容積は64%となり、配送効率は高まって、加盟店の不満は解消された。
2005年には全国で常温混載配送体制が整備され、1店舗で1日あたりのトラック台数は10台を切り、9台まで削減することができた。 Sの執行役員で物流管理本部長のS和久は、「創業のころは効率化を目指してトラック台数を減らしていったが、年を経ると共にトラック台数の減少は店のサービスレベルの向上にもつながるようになった」と語る。
日本の流通業界初の食品と日用雑貨を同じトラックで運ぶ常温混載体制は、供給サイドの事情ではなく、売り場からのニーズによって生まれたのである。 物流の革新は商品の質を高めることにもつながっている。
「とにかく真っ赤に熟したトマトを売りたかった」S取締役執行役員で商品本部食品部長のiは、何とか甘くておいしい野菜本来の味を消費者に届けられないかが、頭の隅にあったという。 ところが、Iが産地に出向いて出荷前のトマトを見ると、1円玉の大きさの赤い部分があるだけであとは緑色だった。

トマトは産地から市場などを通してSの工場にやってくる過程の中で、赤色になっていた。 一般的な野菜流通では産地から店頭までは温度が一定でなく、時間とともに鮮度の劣化が進んでいた。

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